「問い合わせ数」KPIの失敗例|KGIとつなぐKPI再設計
coconecoLead Manager公開日: / 更新日:
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経営からKGIだけを渡され、現場では「とりあえず指標を設定したものの、実務の感覚と乖離している」「メンバーそれぞれがバラバラな方向を向いている」といった違和感を抱えている企業は少なくありません。
本記事では、こうした違和感を解決するアプローチを提示します。
- KGIをそのままKPIにすると、現場と評価制度に何が起きるか(実例)
- KGI→CSF→KPIを、量(実数)で正しくつなぐ考え方
- マーケティング・営業、それぞれのKPI設計の具体例
KGIとKPIの正しい設計とは
設定したGoalをKGIとして数値化し、その達成に向けたボトルネックを解消する「CSF(重要成功要因)」を特定した上で、具体的なKPIに落とし込むことです。
これにより、「目指すゴール(KGI)」と「日々の現場の行動(KPI)」が、CSFという1本の論理でつながります。
GoalとKGIを確認する
今期のKGIは下記のとおり発表されました。
| Goal(定性) | 子会社単体でも稼げる基盤を作る |
|---|---|
| KGI(Goalを数値化) | 直接契約クライアントからの売上を〇〇円にする。 |
ここでだいたい、各事業部でKPIたてて進捗を報告するように、と現場におりてきますが、次にすることは、CSF(重要成功要因:Critical Success Factor )を決定することです。
CSFを特定する
経営目標や事業のゴール(KGI)を達成するために、極めて重要となる要因や条件のことです。
CSFを特定するために、Goalに対して、何がボトルネックになっているかを洗い出し、その中から、目標達成に最も大きな影響を与えるボトルネックを解消するための、重要な取り組みを絞り込みます。
例えば、今回は、下記の4つ。
【候補A】営業の役割分担と直クラ新規開拓の専任化
【候補B】技術成果の外部可視化・事例コンテンツ化
【候補C】MAと軽量な人の接点(架電等)による選別・アポ打診プロセスの構築
【候補D】三部門を繋ぐ連携ルールの策定
この4つから、最大のボトルネックを比較評価し、CSFを特定します。
| 【候補A】営業の役割分担と専任化 | 引き渡されるリードの熱量が低ければ、専任化しても営業は動けない。 |
|---|---|
| 【候補B】技術成果の事例化 | Webに事例を置くだけでは、顧客が自動的に商談アポを決める流れは作れない。 |
| 【候補C】MAと人の接点による選別プロセスの構築 | 「ただのお問い合わせ」をそのまま流しているため営業が動かない。ここが最大のボトルネック。 |
| 【候補D】三部門を繋ぐ連携ルール策定 | 協働のルールは必要だが、それ自体が直接見込み客を動かすエンジンにはならない。 |
今回特定されたCSFは下記。
| CSF | 契約の可能性の高いリードをタイムリーに営業へトスアップするプロセスを構築する |
|---|
KPIを設定する
KGI達成に向けた最重要プロセスである「CSF」の進捗を測定・評価するための指標のこと。
KPIは、結果指標(遅行指標)ではなく、自分たちの行動量で100%コントロールできる先行指標として設定します。KPIは原則1つですが、それを補完する補助指標(PI)も設定しておきます。
| KPI(主指標) | トスアップ件数 |
|---|---|
| PI 1(補助指標) | 獲得リード数 |
| PI 2(補助指標) | スコア上位者への週次アプローチ数 |
設計されたKGIとKPIまとめ
| Goal(定性) | 子会社単体でも稼げる基盤を作る |
|---|---|
| KGI(Goalを数値化) | 直接契約クライアントからの売上を〇〇円にする。 |
| CSF(定性) | 契約の可能性の高いリードをタイムリーに営業へトスアップするプロセスを構築する |
| KPI | 月間トスアップ件数 |
実際に設定されていたKPI
KGIの発表があり、KPIが設定されたときの情報としては、下記のとおりでした。
| Goal(定性) | 子会社単体でも稼げる基盤を作る |
|---|---|
| KGI(Goalを数値化) | 直接契約クライアントからの売上を〇〇円にする。 |
| CSF(定性) | 未設定 |
| KPI | お問い合わせ数 |
CSFという「唯一のボトルネック」を特定しないまま現場にKPI設定を委ねると、KGIとKPIをつなぐはずの論理が、どこにも存在しないまま数字だけが降りていくことになります。因果関係を説明できない数字を渡された現場は、自分たちの手が届く範囲で、それぞれの解釈にもとづいて指標や個人目標を組み立てるしかありませんでした。
不適切なKPI設定と、KPI決定プロセスが招いたこと
因果関係が欠けたまま進んだ結果、何が起きたかを2つの側面から見ていきます。
部門最適の発生による組織間の分断
KGIに直結する成功要因が定義されないまま「お問い合わせ数」という単一の数字だけが降りてきたため、マーケティング部門はとにかく問い合わせの「数」を稼ぐという部署最適の行動に走りました。「お問い合わせ数」は、自社の発信量だけでなく、広告の波及効果や市場トレンドなど自社でコントロールしづらい要因も混ざっており、顧客の熱量もバラバラな「未選別のリード」に過ぎません。
一方で、営業部門(フィールドセールス)は親会社からの紹介案件の対応を中心としており、評価基準も既存の「契約数や売上」に置かれていました。営業側からすると、マーケティング部門から流れてくる未選別のリード(見込み顧客)を引き受けて育成・フォローしても、自身の評価や売上には直接影響しません。また、会社組織の中にリードを育てる専門役割(インサイドセールス)も存在しませんでした。
結果として、マーケティング側の「獲得活動」と営業側の「契約獲得活動」が双方の部署内で自己完結してしまい、直接契約の獲得に向けたプロセスが1本の線として繋がらないまま、両部門がそれぞれ別々に動いていました。
個人評価とのズレが招いた、現場の反発
KGIと論理的につながっていない不適切なKPIが設定されたことで、その下に紐づく現場メンバーの目標も、実態とかけ離れたものになっていきました。
実際に現場で起きていたのは、「お問い合わせ数を上げる」ということを、「リードを増やす」「サイトのアクセス数を増やす」ことだと安易に読み替える発想です。この解釈のもとで、「コラム記事を〇本公開する」「メルマガで資料ダウンロード数を増やす」といった目標が、個人ごとに設定されていきました。一見筋が通っているように見えますが、KGI(直接契約クライアントの売上)にも、本来のKPI(トスアップ件数)にも、直接は寄与しない目標です。
この状態で、後から「見込み顧客の育成(ナーチャリング)に注力せよ」と方針変更の号令をかけても、現場の行動変容につながることはまずありません。個人目標の達成を目指す現場メンバーから見れば、自身の評価に結びつかない新しい号令に従うよりも、すでに設定されている評価対象業務を優先する方が合理的な判断となります。
その結果、マーケ・セールスの両部門から、「やっても無駄」「実績がない」といった反発が起き、組織として必要な行動転換や施策の定着が阻害されました。
まとめ
KPIが形骸化する経路は、大きく2つあります。不適切なKPIが部署最適の行動を引き出すことと、KGIから切り離されたKPIが、評価とも切り離された個人目標を量産することです。個人に数字を配る前に、1つの因果関係の中に位置づける。これに尽きます。
その因果関係は、1つの部門の中だけでは完結しません。マーケティングと営業、同じKGIから伸びた2つの部門に、それぞれ別の指標が必要になります。
よくある質問
Q1. KGIを設定しても、現場の行動が変わらない・目標が形骸化するのはなぜですか?
A1. KGIとKPIをつなぐ「CSF(重要成功要因:解消すべきボトルネック)」が抜けているためです。
CSFを定義せずに「とりあえず指標(お問い合わせ数など)」だけを現場に渡すと、現場はKGI達成との因果関係が分からないまま手探りで目標を設定します。その結果、「アクセス数アップ」や「記事作成数」など、KGIに寄与しない個人目標が量産され、組織全体の行動がバラバラになってしまいます。
Q2. KPIを設定する際の「正しい手順」と「選び方」のポイントは何ですか?
A2. 「Goal → KGI → CSF → KPI」の順で設計し、行動量でコントロールできる「先行指標」を選ぶのがポイントです。
まずゴール(Goal)と数理解析(KGI)を確認し、達成を阻んでいる最大のボトルネックを解明してCSF(重要成功要因)を特定します。その上で、結果指標(遅行指標)ではなく、自分たちの行動次第で達成できるプロセス指標(例:営業への「月間トスアップ件数」など)をメインのKPIに設定します。
Q3. 設定したKPIを現場の「個人評価」に落とし込む際の注意点は何ですか?
A3. CSFに基づく正しいKPIと、個人の評価対象(行動指標)を完全に合致させる必要があります。
KGIやKPIと直接繋がっていない個人目標(例:コラム○本公開など)で評価制度が運用されていると、途中で「リード育成に注力せよ」と会社が方針転換しても、現場は「評価につながらない」と反発します。1本の論理の中に個人目標を組み込むことで初めて現場の行動変容が起きます。
