STP分析とは?
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation:市場の細分化)、ターゲティング(Targeting:狙う市場の選定)、ポジショニング(Positioning:競合に対する立ち位置の決定)の3つの頭文字を取った、マーケティング戦略の基本的な考え方です。フィリップ・コトラーが提唱しました。 まず市場を業種・規模・地域・課題などの軸で分け、次に自社の強みが生きて採算が合う市場を選び、最後にその市場の顧客から見て競合とどう違うかを決めます。B2Bでは、業種や企業規模で分けるだけでなく、購買に関わる人や抱えている課題まで見て分けると、狙う市場と訴える内容が決めやすくなります。
STP分析に関する記事・資料
STP分析に関連する記事5件・資料1件。
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- 2026.09.05読了10分記事市場と競合を分析するB2Bのターゲティング|TAM・SAM・SOMで獲れる件数を決めるTAM・SAM・SOM(市場全体・自社が届く範囲・獲れる範囲)をB2Bマーケティングの実務で使う手順を、政府公式オープンデータ(経済センサス、EDINET)の実データで解説。母数の固定、A/B比較、重複除外、獲れる件数の試算まで。記事を読む
| 工程 | 決めること | 問い |
|---|---|---|
| S:セグメンテーション | 市場をどの物差しで区切るか | 市場はどう分かれているか |
| T:ターゲティング | どの集団を、どれだけ狙うか | 市場は何件あって、いくつ獲れるか |
| P:ポジショニング | その集団の中でどう見られるか | 競合と何が違うと言うか |
STPが決めるのは「誰に」です。「何を、いくらで、どこで、どう伝えるか」(4P)はその後に来ます。順番を逆にして施策から入ると、当たり外れの理由を説明できなくなります。3つの工程は順番に依存していて、区切り方(S)を変えると市場規模(T)も位置取り(P)も変わります。
枠組みは同じでも、B2BとB2Cでは区切る単位と物差しが違います。B2Cは「人」や「世帯」を、年齢・性別・地域・ライフスタイル・購買行動で区切ります。B2Bは「企業」や「事業所」を、業種・従業員規模・地域・購買の仕組みで区切ります。使うデータも、B2Cは国勢調査や消費者調査、B2Bは経済センサスや有価証券報告書と分かれます。
このページは、STP分析に関する記事をまとめたタグページです。B2BとB2Cで記事を分けているので、関心のある方から読んでください。
STP分析の3工程を、B2B・B2Cの両方で
S:市場を区切る。 物差しは複数ありますが、使えるのは「大きさを数えられる」物差しだけです。B2Cなら地理・人口統計(年齢・性別・世帯)・心理・行動の4つ、B2Bなら企業属性(業種・規模・地域)・技術・行動・ニーズの4つが定石で、このうち公的統計で市場全体を数えられるのは、B2Cでは地理と人口統計、B2Bでは企業属性です。数えられる軸で先に区切り、数えられない軸は自社の顧客データや個別の調査で後から重ねます。
T:市場規模を固定して、狙う集団を決める。 市場全体(TAM)、自社が届く範囲(SAM)、実際に獲れる範囲(SOM)の順に、外側から固定します。候補が複数あるなら、1つに決め打ちせず、候補セグメントの評価基準6R(優先順位・規模の有効性・到達可能性・測定可能性・成長性・競合状況)で並べて比べます。
P:位置取りを決める。 狙う集団の中で、競合と何が違うと言うかを決めます。B2Cでは顧客の知覚を2軸で描く方法(ポジショニングマップ)が定石で、B2Bでは買い手が複数いるので、先に顧客の判断基準(KBF)を出し、そのうち重要で差がつく2つを軸にして位置取りを選びます。
B2CのSTP分析:定石どおりに進める
B2Cは、区切る単位が「人」と「世帯」で、STPはもともとこの前提で組まれています。定石どおりに進めるための要点は3つ。
1. 数えられる軸から区切る。 地理(都道府県・市区町村)と人口統計(年齢・性別・世帯構成・所得)は国勢調査や家計調査で市場全体を数えられます。ライフスタイルや価値観(心理)、購買頻度やブランド選択(行動)は自社の会員・購買データや調査でしか分かりません。市場規模は前者で、深掘りは後者で。
2. 市場規模は「人数 × 購買率 × 単価」で組む。 区切った集団の人数に、カテゴリーの購買率と年間の購入額を掛けて市場規模を出します。購買率と単価は家計調査と自社データで置きます。
3. ポジショニングは知覚で決まる。 B2Cでは、自社が何を言うかより、顧客がどう思っているかが位置取りです。知覚を2軸で描いて空いている場所を探す、という定石がそのまま効きます。
B2Cの記事とツールは準備中です。公開したら、このページの一覧に自動で並びます。
B2BのSTP分析:定石と異なる3点
B2Bは顧客が「企業(事業所)」なので、上の定石をそのまま当てはめると3か所で崩れます。
1. 単位がずれる。 顧客は「企業」ですが、統計は「事業所」(本社・支社・工場などの場所)を数え、営業リストは「法人」です。統計で数え、法人番号で名寄せしてリストにする、と単位を意識して渡す必要があります。
2. 変数が違う。 年齢・性別・ライフスタイルは使えません。企業属性(業種・規模・地域)で区切って市場規模(事業所数)を確定し、購買の仕組みやニーズは営業データで重ねます。市場規模も「事業所数 × 単価」で組みます。
3. 順番が逆になりがち。 製品の強みから位置取り(P)を先に決め、それに合う市場を後から探す進め方をよく見ます。B2Bでは市場規模が先です。市場が小さければ、どんな位置取りも成り立ちません。
B2Bの3本の記事は、同じ題材でつながっています。
- S:地域(東京都)と規模(50人以上の事業所)を先に固定し、95の業種を「頭数・集積・伸び・カネ」の4つの物差しで比べる。核はインターネット附随サービス業(489件)。隣の業種を足した2案、A案=+広告業(755件)、B案=+情報サービス業(3,140件)を作る。→ [B2Bのセグメンテーション:公開時にリンク]
- T:2案の事業所数を全国と比べる。A案は東京だけで全国の59.1%、B案は49.1%。重複は489件、重複を除いたリストの実数は3,406件。獲れる件数(SOM)を営業キャパから逆算すると、A案だけでは足りず、B案を足す判断になる。→ [TAM・SAM・SOMの計算方法と実務(B2Bのターゲティング):公開時にリンク]
- P:顧客企業の費用構造(販管費率・原価率・営業利益率)からKBFの仮説を立て、受注・失注の理由で裏を取り、ポジショニングマップで位置取りを決める。両案に入る大口(上場売上の大半)はアカウント別に別建て。→ [B2Bのポジショニング:公開時にリンク]
STP分析を見直すタイミング
STPは一度決めたら終わりではなく、市場規模が動いたら見直します。きっかけは3つ。
- 公的統計の更新:B2Bは経済センサス(基礎調査と活動調査が交互)、B2Cは国勢調査(5年ごと)と家計調査(毎月)。区切った市場の規模と伸びが変わります
- 競合の変化:新規参入や撤退。上場企業なら有価証券報告書(年1回)で財務が変わります
- 自社データの蓄積:受注・購買データが四半期分たまったら、区切り方(S)の仮説が合っていたかを確かめます
見直しはSから始めます。Tだけ直しても、市場規模が同じなら結論は変わりません。
よくある質問
Q. STP分析はB2BとB2Cでどう違いますか。
枠組みは同じで、区切る単位と物差しが違います。B2Cは人・世帯を年齢・性別・地域・ライフスタイル・購買行動で、B2Bは企業・事業所を業種・規模・地域・購買の仕組みで区切ります。データも、B2Cは国勢調査や消費者調査、B2Bは経済センサスや有価証券報告書と分かれます。
Q. STP分析と4P(マーケティングミックス)はどう違いますか。
STPは「誰に、どう見られるか」を決める工程で、4P(製品・価格・流通・販促)はその後の「何を、どう届けるか」です。STPが先、4Pが後です。
Q. STP分析の順番は必ずS → T → Pですか。
はい。区切り方(S)を変えると市場規模(T)が変わり、それが変わると位置取り(P)の前提が変わるからです。製品から位置取りを先に決めて市場を後から探すと、当たり外れの理由が説明できなくなります。
Q. STP分析に使えるデータは何ですか。
市場規模は公的統計で数えます。B2Bは経済センサス(e-Stat)と有価証券報告書(EDINET)、名寄せは法人番号公表サイト。B2Cは国勢調査と家計調査(e-Stat)。いずれも政府公式のオープンデータで、無料で使えます。心理・行動・ニーズの軸は、自社の顧客データや調査で重ねます。
Q. 小さな会社にもSTP分析は必要ですか。
必要です。人手が少ないほど、獲れる件数は営業や販売のキャパで決まります。市場が小さすぎれば、キャパを埋めるのに非現実的なシェアが要ることが、STPをやると数字で分かります。
数字について
このページと各記事の数字は、政府公式のオープンデータを条件固定で集計した一次情報です(B2Bの数字の生成日は2026年9月5日、推計モデルなし)。出典・層ごとの限界・引用時の条件は、各記事末尾の「数字について」に記載しています。
出典:総務省「令和6年経済センサス‐基礎調査」(e-Stat)を加工して作成/総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat)を加工して作成/金融庁「EDINET」の有価証券報告書および「EDINETコードリスト」を加工して作成
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