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マーケティングROIの出し方|「その広告費でいくら儲かった?」に答える、経営視点の計算3段階

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目次

マーケの成果を経営陣に説明するとき、ROASやCPAを見せても話がかみ合わないことがあります。経営陣が知りたいのは、かけたお金に対して利益がいくら残ったかです。この記事では、マーケティングROIを粗利と人件費を含む費用で計算し、経営会議で信用される数字にする方法を解説します。

👉この記事でわかること
  • 経営陣に伝わるマーケティングROIの計算式と、3段階の出し方
  • 人件費をどう含めるかを、誰とどう決めるか
  • ROIを経営会議や月次報告で伝えるまでの順番

マーケティングROIで決めること:何を「成果」と「費用」に数えるか

ROIは、かけた費用に対してどれだけ利益が出たかを示す割合です。マーケティングROIの式は次のとおりです。

マーケティングROI(%)=(マーケ経由の粗利 − マーケの費用)÷ マーケの費用 × 100

注意点は、分子と分母に何を入れるか、どの期間で見るかを、計算の前に決めることです。

  • 成果(分子):どの受注を「マーケ経由」と数えるか。売上ではなく粗利で見るか
  • 費用(分母):広告費・外注費・人件費・ツール費などのどこまでを含めるか
  • 期間:何か月分の費用と成果を対応させるか

ROASやCPAとの違い

広告の成果を示す数字はほかにもありますが、経営陣の「いくら儲かったか」に答えられるのはROIだけです。

指標わかること経営陣の問いへの答えになるか
ROAS広告費に対して、どれだけ売上が出たかならない。売上なので、利益が残ったかはわからない
CPA問い合わせや資料請求を1件獲得するのにかかった費用ならない。その1件が受注や利益につながったかはわからない
マーケティングROI費用に対して、どれだけ利益が残ったかなる。投資として成り立っているかを示せる

ROASやCPAは、広告の運用を改善するための数字です。経営陣への報告に使う数字とは、役割が違います。

経営陣に説明できるROIを出す5つの順番

1. 経営陣の問いを「利益」の問いに置き換える

「いくら儲かったのか」という問いは、「マーケ経由の受注で、粗利がいくら残ったか」という意味です。売上でも、問い合わせ数でもありません。まず、答えるべきものが粗利であることを押さえます。会社の最終目標(KGI)が利益で置かれているなら、ROIもそれに合わせます。

2. 「マーケ経由の受注」の範囲を営業と決める

展示会で名刺交換した相手が、半年後にWebサイトから問い合わせて受注した。こうした受注をマーケの成果に数えるかどうかで、分子は大きく変わります。

「初めての接点がマーケ施策だった受注を数える」「問い合わせフォームと資料請求から始まった受注を数える」など、ルールを1つ決め、営業と合意します。一度決めたら、成果が良い月だけ数え方を変えるようなことはしません。

3. 費用の範囲を決める。迷う費用は会社の方針に合わせる

広告費と外注費は、請求書を見れば金額がわかります。扱いに迷いやすいのは、次の4つです。

費用迷う点
人件費誰の、どれだけの時間を含めるか
ツール費(CRM・MAなど)営業など他部署も使うツールの費用を、どれだけマーケの費用とするか
制作費(会社案内・動画・Webサイトなど)何年も使うものの費用を、作った年に全額入れるか
展示会の費用出展料のほかに、当日対応した社員の人件費や交通費を含めるか

これらは会社によって扱いが違います。マーケ側だけで決めず、会社の方針を確認してから計算します。

人件費は「役職ごとの時間単価 × かけた時間」で出す

とくに迷うのが人件費です。マーケ責任者が、関わる人全員の給与を知っているとは限りません。展示会やセミナーの対応など、他部署のメンバーに手伝ってもらうこともあります。

そこで、給与ではなく、役職ごとの時間単価で計算します。「メンバーは1時間いくら、リーダーはいくら」と、社内で丸めた単価を決めている会社は多くあります。その単価に、マーケの業務にかけた時間をかけます。

人件費 = 役職ごとの時間単価 × マーケの業務にかけた時間

計算例(時間単価と時間は説明用の架空の数値です)

誰の時間か時間単価年間の時間人件費
マーケ責任者(管理職)5,000円281時間141万円
マーケ担当(メンバー)3,000円669時間201万円
営業メンバー(展示会・セミナーの支援)3,000円92時間28万円
合計370万円

計算の前に、確認しておくことは次の2点です。

  • 社内で決まっている時間単価があるか。ない場合、役職ごとの単価をどう決めるか(社会保険料などの会社負担分を含めるか)
  • マーケの業務にかけた時間をどう数えるか(業務時間の記録を使うか、「月40時間」のような目安で決めるか)

どの方法が正しいかではなく、会社の方針に合っているかが大切です。

4. 3段階で計算する

いきなり完全なROIを出そうとすると、時間がかかります。次の3段階で進めると、早く答えを出しつつ、最終的に経営陣が納得する数字にできます。

段階計算わかること使いどころ
① 売上貢献額マーケ経由の受注件数 × 平均案件単価マーケがつくった売上その場で早く答えるとき
② 人件費込みのROI(1年)(粗利 − 費用合計)÷ 費用合計。費用合計=外部に払う費用+人件費1年で見て、費用を上回る粗利が出たか予算の申請や経営会議の報告
③ 回収期間とCACの上限回収期間=CAC ÷ 1社あたりの月の粗利。CACの上限=1社あたりの年間粗利 × 取り返す年数かけた費用を何か月で取り返せるか、決めた年数で取り返せるか投資を続けるか、増やすかの判断

「広告経由の契約件数 × 平均案件単価」は、すぐに出せる便利な数字です。最初の一歩としては使えます。ただし、これは売上貢献額であり、ROIではありません。費用も利益も入っていないので、「いくら儲かったか」への答えにはなりません。①を出したら、②と③まで進めます。

費用は、外部に払う費用(広告費・外注費・ツール費など)と人件費を別の行で示し、合計も出すのが基本です。この記事でも、人件費を含めて計算します。外部に払う費用だけで出すと、同じ成果でもROIが大きく見え、報告の場で「その数字は本当か」と問われたときに説明が崩れやすくなるためです。

計算例(数値は説明用の架空のものです)

1年間のマーケ活動を計算した場合です。人件費は、上の時間単価の例で出した370万円を使います。

項目数値
マーケ経由の受注件数12件
平均案件単価250万円
① 売上貢献額12件 × 250万円 = 3,000万円
粗利率40%
粗利3,000万円 × 40% = 1,200万円
外部に払う費用(広告・展示会・制作・ツールなど)910万円
人件費370万円
費用合計910万円 + 370万円 = 1,280万円
② 人件費込みのROI(1年)(1,200万円 − 1,280万円)÷ 1,280万円 ≒ −6%
CAC(受注1件あたりの費用)1,280万円 ÷ 12件 ≒ 107万円
1社あたりの月の粗利250万円 × 40% ÷ 12か月 ≒ 8.3万円
③ 回収期間107万円 ÷ 8.3万円 ≒ 12.8か月
③ CACの上限(1.5年で取り返す場合)250万円 × 40% × 1.5年 = 150万円

1年のROIはマイナスですが、CACは上限の150万円以内で、かけた費用は12.8か月で取り返せます。初回の受注だけで計算する1年のROIは、取引が続く会社では低く出る数字です。そのため、経営陣への説明は回収期間を主にし、1年のROIは並べて示します。

判断の目安

  • 回収期間が、経営陣と決めた取り返す年数(この例では1.5年=18か月)以内なら、マーケ活動は投資として回収できる見込みがあると言えます。
  • CACが上限を超えていれば、決めた年数では取り返せません。上限を超えている施策から、額や中身を見直します。
  • ②の1年のROIがマイナスでも、回収期間が年数以内なら、投資としては回収できる見込みがあります。ROIは、前年と比べてよくなっているかを見るのに使います。

5. 報告の形にする

数字が出たら、経営陣が毎回同じ形で見られるようにします。何を1画面に載せるか、会議資料や月次報告でどう伝えるかは、下の「目的別に読む記事」にまとめています。

よくあるつまずき

ROASやCPAで予算のロジックを組み立ててしまう

広告の管理画面にある数字は手元にあるので、それをもとに予算の根拠を組み立てがちです。しかし、ROASやCPAは経営陣が使う言葉ではないため、話が通じません。

たとえば「ROAS 300%」と報告しても、粗利率が30%なら、粗利は広告費の0.9倍です。広告費すら回収できていないのに、数字だけを見ると成果が出ているように見えてしまいます。予算の根拠は、粗利とROIで組み立てます。

人件費の出し方を、関係部署と合意せずに計算する

マーケ側で人件費を計算して報告したところ、財務から「その計算方法は会社の考え方と違う」と指摘され、数字全体の信用がなくなる。これはよくある失敗です。

一度信用をなくすと、次の予算申請でも数字を疑われます。結果として予算は増えず、マーケ部門はコストセンターと見られたままになります。人件費は、計算する前に出し方を社内で決めておきましょう。

「経営陣はマーケを分かっていない」で止まる

数字が伝わらないとき、「経営陣がマーケを分かっていない」「リテラシーが低い」と考えたくなります。しかし、経営陣に分かってもらえなければ、予算は承認されず、コストセンターという見られ方も変わりません。困るのはマーケ側です。

だからこそ、マーケ責任者が経営の言葉に置き換えて説明します。経営陣が使うのは、粗利、限界利益、回収期間、投資対効果といった、会計や財務の言葉です。マーケの成果を売上への貢献として示すには、これらの言葉で説明できる必要があります。

経営陣に説明するときの例文

  • 「昨年のマーケ活動は、外部に払う費用910万円と人件費370万円、合わせて1,280万円で、新規12社・粗利1,200万円を生みました。1社の獲得にかけた費用は107万円で、12.8か月で取り返せます。」
  • 「1年で見たROIは−6%ですが、取引が続く2年目以降の粗利で回収できる計算です。経営と決めた18か月の中で回収できています。」

まとめ

  • 経営陣の「いくら儲かったか」に答えるのは、ROASやCPAではなく、粗利で出すマーケティングROIです。
  • 計算の前に、「マーケ経由の受注」の範囲を営業と、人件費の出し方を財務・経理と合意します。
  • 「受注件数 × 平均案件単価」は売上貢献額です。そこから人件費込みのROI、回収期間とCACの上限へと3段階で進めます。
  • 伝わらない原因を経営陣のせいにせず、粗利や回収期間など、会計・財務の言葉で説明します。

報告の形にする方法は、上の「目的別に読む記事」から、いまの課題に合うものを選んでください。

よくある質問

Q1.マーケティングROIとROASの違いは何ですか?

A1.ROASは広告費に対する売上の割合で、広告の運用を改善するための数字です。マーケティングROIは費用に対する利益の割合で、マーケ活動が投資として成り立っているかを示します。経営陣への報告にはROIを使います。

Q2.「受注件数 × 平均案件単価」で出した数字は、ROIとして使えますか?

A2.ROIとしては使えません。これは売上貢献額で、費用も利益も含まれていないためです。その場で早く答えるための数字としては役に立つので、まず出したうえで、人件費込みのROIと回収期間まで計算します。

Q3.人件費は必ず含めるべきですか?

A3.含めるのが基本です。外部に払う費用と人件費を別の行で示し、合計も出します。人件費を抜くとROIもCACも実際より良く見え、上限と比べたときの判断が甘くなりやすいためです。出し方は会社によって違うので、社内で決まっている時間単価などの方針に合わせ、経理・財務に必ず確認してください。

Q4.受注まで時間がかかる場合、いつの費用と成果を対応させればよいですか?

A4.商談期間に合わせて考えます。たとえば問い合わせから受注まで平均6か月かかるなら、単月ではなく12か月の累計で費用と成果を比べるほうが、実態に近い数字になります。どの期間で見るかは、経営陣とあらかじめ決めておきます。

Q5.ROIは何%あればよいのですか?

A5.どの業種にも当てはまる共通の基準はありません。受注ごとに取引が続く会社では、初回の受注だけで計算する1年のROIはマイナスになることもあります。判断は、人件費込みの回収期間が、経営陣と決めた取り返す年数以内に収まっているかで行い、1年のROIは前年の自社の数字と比べるのに使います。

この記事の執筆者

coconeco
coconecoLead Manager

デジタルマーケティング立ち上げ・運用設計責任者

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