生成AIのマーケティング活用、どの業務から任せる? 中小BtoBの使いどころと失敗しない判断基準
coconecoLead Manager公開日: / 更新日:
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いつも手が足りず、生成AIで仕事を効率化したい。周りの部署や競合も使い始めていて、自分も何か始めなければと感じることがあります。ただ、実際に求められているのは、AIに何でも任せることではなく、自分の仕事のどこを任せれば時間が浮くかを見極めることです。
この記事では、中小BtoBのマーケ責任者が生成AIをマーケティングに活用するときの使いどころと判断基準を解説します。
- 生成AIに任せるかどうかを決める3つの基準
- 調査・企画・制作・分析・レポートの工程ごとの、AIの使い分け
- よくある失敗と、社内で利用を打診する前に決めておくこと
生成AIは「自分の拡張」。任せるかどうかは3つの基準で決める
生成AIは自分の知識と判断の範囲を広げるものでしかない、ということです。自分が知らないことを、代わりに正しく判断してくれるわけではありません。だからこそ、期待しすぎず、次の3つの基準で任せる業務を選びます。
| 基準 | 確認すること | 満たさないときは |
|---|---|---|
| ① 自分で正誤を判断できるか | AIの回答が合っているかを、自分の知識か元の資料で確かめられるか | 任せない。まず自分で基礎を調べるか、詳しい人に聞く |
| ② 材料を渡せるか | 目的・前提・データ・完成形の例(型)を渡せるか | 材料をそろえてから頼む。テーマだけで頼まない |
| ③ 入力してよい情報か | 社内の利用規定で、その情報をAIに入れてよいか | 入力しない。規定がなければ、先に上司と線を決める |
3つとも満たす業務から始めると、「AIを使ったのに、かえって時間がかかった」という状態を避けられます。反対に、1つでも満たさない業務は、人に聞いたほうが早いことも多いです。
HubSpot Japan「日本のマーケティングに関する意識・実態調査」(フルタイムのマーケティング従事者787名、2025年8月28日〜9月2日実施)では、生成AIを業務に利用している人は81.6%でした。また、生成AIを週1日以上使う人の84.6%が、顧客の購買行動に変化を感じると回答しています。
使っている人が多いからといって、成果が出ているとは限りません。差がつくのは、どの業務に、どのAIを、どう使うかです。
マーケティング業務での使い分け
生成AIは、ツールごとに得意なことが違います。1つのAIですべてを済ませようとせず、工程ごとに使い分けると、手直しの手間が減ります。
| 工程 | 向いているAI | 使い方 | 自分が確かめること |
|---|---|---|---|
| リサーチ・市場調査(社外の情報) | Perplexity | 業界の動き、競合のWeb施策、SEOキーワードの検索意図を調べる。回答に出典が付くため、元の情報をたどりやすい | 出典を開き、数字と日付が合っているか |
| リサーチ(社内の情報) | NotebookLM | 営業資料、顧客インタビューの記録、製品資料を読み込ませ、自社の強みや顧客の課題を取り出す。読み込ませた資料の範囲で答えるため、根拠を確かめやすい | 読み込ませた資料が最新で、偏りがないか |
| 企画・ペルソナ | ChatGPT、Claude | ChatGPTで顧客の悩みや企画案を多めに出し、Claudeで整理してペルソナやカスタマージャーニーの形にまとめる | 実際の顧客や営業の声と合っているか |
| コンテンツ制作 | Claude | SEO記事、ホワイトペーパー、LPやSNSの文章の下書き。長い文章でも、指示したニュアンスを反映しやすい | 自社の経験と判断基準が入っているか、事実に誤りがないか |
| データ分析 | ChatGPT | GA4や広告の数値をCSVで渡し、グラフ化や、数字が大きく動いた理由の仮説出しをさせる | 元データと計算が合っているか。仮説をどう解釈するか |
| レポート・社内共有 | Gemini | 分析結果をGoogleドキュメントやスライドの下書きにする。Googleのツールを使っている会社ほど手間が減る | 報告相手が知りたい数字になっているか |
どのツールも、判断と確認は自分が持ちます。また、ツールの得意分野は更新が速いため、この表は今の時点での目安です。社内で使えるツールが決まっている場合は、その中で同じ考え方で工程を分けてください。
あわせて、使い方も作業の頻度で変えます。毎月くり返す作業は、GeminiのGemなどに指示と資料を登録して型にし、結果を見てこまめに直す。一度きりの作業なら、登録はせず、目的と前提を最初に伝えて質問すれば十分です。
このサイトでのAIの使い方
このサイトも、調査から記事・資料の制作まで生成AIを使って運営しており、作業は大きく効率化できています。工程ごとの使い方は次のとおりです。
| 工程 | 使っているAI・ツール | 使い方 |
|---|---|---|
| リサーチ・学習 | NotebookLM | マーケティングの課題の調査と、自分の勉強に使う |
| 戦略立案・コンセプトづくり | Claude、Gemini | 調査でまとめた課題と自社のリソースから戦略シートを作り、それをもとに3C分析をしてコンセプトシートを作る |
| コンテンツの企画・制作 | Claude、Canva、キーワードプランナー | 記事の企画から、記事・資料の作成まで |
リサーチ・学習:全体をつかんでから、壁打ちで結論を出す
NotebookLMに資料を読み込ませたら、まずマインドマップで全体像をつかみ、音声解説を聞いて理解します。そのうえで、AIとの壁打ちで結論を出していきます。勉強が目的のときは、クイズ機能で理解度を確かめます。
コンテンツ制作:キーワードの判断は自分、組み立てはAI
記事の企画、次の手順で実施しました。
- コンセプトシートをもとにClaudeにターゲットのキーワード候補を出してもらう。
- 私がキーワード候補をキーワードプランナーで調べ、結果をClaudeに伝える。
- Claudeがトピッククラスター、記事リスト、ダウロード資料のリストを作成する。
記事と資料は、Claudeに指示や資料を登録した”スキル”で作っています。私は記事ごとに自分の経験を答えとして渡し、AIが書いた下書きの内容と数字を確かめます。直したい点が繰り返し出たら、スキルを調整していきます。こうして、使いながら更新を続けています。
指示や資料を登録しておく機能は、GeminiのGem、ChatGPTのGPTs、Claudeのプロジェクトなど、主要な生成AIにそろっています。登録には手間がかかり、遠回りに見えますが、同じ作業を何度もくり返す業務ほど、あとで浮く時間が大きくなります。
よくある失敗と、その避け方
私が見てきた中で多い失敗は、次の4つです。どれも、上の3つの基準のどれかを飛ばしたときに起きています。
AIの回答をうのみにする
生成AIは、もっともらしい文章で誤った内容を返すことがあります。数字や固有名詞、制度の説明は、そのまま資料に使わず、出典を開いて確かめてください。自分で正誤を判断できないテーマほど、うのみにしたときの影響が大きくなります。
知識がないまま質問し、答えにたどり着くまで時間がかかる
前提となる知識がないと、何を聞けばよいかが定まらず、やりとりが長くなります。その結果、社内の詳しい人に聞けばすぐ済む話に、長い時間をかけてしまうこともあります。基礎がない分野では、先に人に聞くか、概要を自分で押さえてからAIを使うほうが、結果的に早く済むはずです。
テーマとキーワードだけでSEO記事を書かせようとする
テーマとキーワードだけを渡しても、どこかで見たような一般論の記事になり、手直しを重ねても完成にたどり着けません。足りないのは、読者の悩み、自社の経験、判断基準、記事の型といった材料です。AIに書かせる前に、これらを自分で用意する必要があります。
会社の利用規定を知らずに使う
顧客情報や社外秘の数字を、規定を確認せずに入力してしまうケースです。規定違反になれば、自分だけでなく部署全体がAIを使いにくくなります。使い始める前に、社内の利用規定を必ず確認してください。
社内で生成AIの利用を打診する前に決めておくこと
社内でAIの利用を打診するときは、いきなり全社の話にせず、まず自部署で試した結果を持っていくほうが話が進みます。打診の前に、自部署で検証したい内容など、次の4点を整理しておきます。
- 試す業務:上の3つの基準を満たす業務を1〜2つ選ぶ
- 入力してよい情報:社内の利用規定を確認し、入れない情報を決める
- 確認する人:AIの成果物を、誰がどこまで確かめるか
- 試す期間と見る数字:たとえば1か月試し、作業時間がどれだけ減ったかを記録する
まとめ
- 生成AIは自分の拡張でしかないため、期待しすぎず、任せる業務を選ぶ
- 任せるかどうかは、「自分で正誤を判断できるか」「材料を渡せるか」「入力してよい情報か」の3つで決める
- よくある失敗は、うのみ、知識不足のままの質問、テーマだけでの記事制作、利用規定の見落とし
- くり返す業務は、GemやGPTsなどに指示と資料を登録し、こまめに直すことで効率化が進む
- 詳しい人に頼りすぎず、日々の情報収集と自分での試行で、自分なりの使い方を見つける
よくある質問
Q1.生成AIは、マーケティングのどの業務から使い始めればよいですか?
A1.自分で正誤を判断でき、同じ作業をくり返す業務から始めるのがおすすめです。メールやSNSの文章の下書き、毎月のレポートの下書きなどが当てはまります。判断できない業務から始めると、確認に時間がかかり、効率化になりません。
Q2.ChatGPT・Claude・Geminiなど、どのAIを使えばよいですか?
A2.工程ごとに使い分けるのが効率的です。たとえば、社外の調査はPerplexity、社内資料の整理はNotebookLM、文章の制作はClaude、データ分析はChatGPT、Googleのツールでのレポート作成はGeminiが向いています。社内で使えるツールが決まっている場合は、その中で工程を分けて使ってください。
Q3.ChatGPTにSEO記事を書かせても、使える記事にならないのはなぜですか?
A3.テーマとキーワードだけでは、材料が足りないためです。読者の悩み、自社の経験、判断基準、記事の型を先に用意して渡すと、使える下書きに近づきます。仕上がりの確認は、必ず自分で行ってください。
Q4.GemやGPTsのような登録機能は、使ったほうがよいですか?
A4.同じ作業を何度もくり返す業務では、使ったほうが効率的です。毎回の説明が不要になり、出力の質もそろいます。一方で、登録した指示は使いながらこまめに直す必要があります。
Q5.社内でAIの利用を打診するとき、何を準備すればよいですか?
A5.まず自部署で試し、その結果を持っていくと話が進みます。検証する業務、使うツールと入力してよい情報、確認する人、検証の期間と見る数字の4点を先に決めておいてください。社内に利用規定がない場合は、入力しない情報の範囲もあわせて提案します。
