ファネル分析でボトルネックを特定する
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着任してまもなく、リードから受注までのどこで落ちているのかを調べようとしても、データがそろっていない、件数が少ない、と手が止まることがあります。求められているのは精密な分析より、いま手を打つ段階を1つに決めることです。
この記事では、BtoBのファネル分析で前年と比べ、詰まりを段階の間の日数と経路から見つける手順を解説します。
- ファネル分析で1枚に並べる項目
- データが少なくても詰まりを1つに絞る4つのステップ
- 着任早々に分析を報告にまとめるときの考え方
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ファネル分析では、ボトルネックを1つ決める
着任早々のファネル分析の目的は、注力する段階を1つに決めることです。そのために、段階ごとの件数と転換率に、次の段階までの日数と経路を加えて1枚に並べます。
並べる項目は、次の5つです。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 段階 | リード、商談、受注など、営業も同じ意味で使っている段階 |
| 件数 | 今期と前年同期の件数 |
| 転換率 | 次の段階に進んだ割合 |
| 次の段階までの日数 | リードが来てから連絡するまで、商談から受注までなど |
| 経路 | セミナー、展示会、資料請求など、どこから来たか |
表を左から右へ埋める順番が、そのまま次の4つのステップの順番です。

転換率だけを並べると、詰まりは段階そのものにあるように見えます。実際には、段階と段階の間にある手間や待ち時間で落ちていることが少なくありません。日数の列を置くのは、そこを見逃さないためです。
私自身、着任直後は環境づくりに追われ、数字をどうまとめるかから考える余裕がありませんでした。並べる形が決まっていれば、データを書き出してすぐに始められます。
ボトルネックは4つのステップで1つに絞る
表を埋めながら、次の4つのステップで詰まりを1つに絞ります。データが足りないときの進め方も、ステップごとに示します。
Step1:営業と同じ意味で使っている段階だけを並べる
比べられるのは、数え方が決まっている段階だけです。MQLの定義がなかったり、前年と今年で基準が変わっていたりすると、MQLの件数を並べても比べたことになりません。
定義が決まっていない段階はいったん外し、商談と受注のように、営業の商談管理表に記録が残る段階から並べます。「商談」を何と数えるか(初回の面談か、提案に進んだものか)は、営業部長と言葉をそろえておきます。MQLの定義は、詰まりが見えてから決めても間に合います。
Step2:前年同期と比べ、いちばん落ちた段階を選ぶ
比べる相手は、前年の同じ時期です。前月と比べると、季節による増減を詰まりと見誤ることがあります。
件数が少ないときは、転換率がぶれます。たとえば、月のMQLが9件ほどなら、商談が1件違うだけでMQLから商談への率は11ポイント動きます。こうした規模なら、四半期か半期にまとめて比べます。
前年のデータが残っていないときは、一般に公開されている調査の数字を目安として並べます。ただし、業種や商材によって幅が大きいため、自社の数字が目安から大きく離れている段階がないかを見る程度にとどめます。
Step3:落ちた段階を、経路と連絡までの日数で割る
落ちた段階を選んだら、その段階だけを内訳で割ります。全体の転換率が横ばいでも、内訳では落ちていることがあるからです。
たとえば、商談になりやすいセミナー経由のリードが減り、資料請求からのリードが増えると、どの経路も悪くなっていないのに全体の転換率は下がります。逆に、経路の構成が変わったせいで、ある経路の悪化が全体の数字に隠れることもあります。
割り方は、業種や規模の項目が取れていればそれも使います。取れていなければ、経路と連絡までの日数の2つで割ります。連絡までの日数は見落とされやすい項目です。営業とマーケの担当者500名への調査では、マーケが獲得したリードが「明らかに放置されている」と答えた人が25.2%でした(One Marketing「営業とマーケティングの連携実態調査」、2024年)。
Step4:原因を「手間」「待ち時間」「人手」に分け、打ち手を1つに絞る
詰まりの場所がわかったら、原因を3つに分けて打ち手を選びます。原因の種類によって、手を打つ相手と打ち手が変わるからです。
| 原因 | 確かめること | 打ち手の例 |
|---|---|---|
| 手間 | 次に進むために、相手の作業が増えていないか(日程調整のやりとり、入力の多いフォーム) | 予約のリンクを送る、入力項目を減らす |
| 待ち時間 | リードが来てから連絡するまで、商談から提案までに何日かかっているか | 連絡の期限を営業と決める |
| 人手 | 対応する人が足りず、追いきれていないリードがないか | 誰がどこまで対応するかを決める |
人手が原因のときは、打ち手を足しても回りません。着任直後は、マーケが商談の対応まで担っていて、手が回らないリードが出がちです。この場合は、誰がどこまで対応するかを先に決めます。メンバーに何から任せるかの決め方は、マーケティング人材育成は『任せる順番』から|経験者が自分1人のチームで、1年で実務を手放す計画 で解説しています。
結果は「事実・やったこと・比べた相手」で報告する
最初の分析は、仕組みを作り込まずに手早くまとめます。報告には、事実、やったこと、比べた相手の3つを並べます。
分析を始めると、ツールのレポート画面を作り込もうとして、設定や表示の遅さに時間をとられ、分析までたどり着かないことがあります。最初のうちは、商談管理表やMAからデータを書き出し、表計算で数えれば足ります。自動で集計する仕組みは、見る段階と数え方が決まってから作ります。
報告にまとめるときは、次の3つを並べます。
- 事実:段階ごとの件数と転換率、前年同期との差
- やったこと:この期間に始めた施策、やめた施策、変えた手順
- 比べた相手:前年同期。なければ公開されている調査の目安
やったことを並べるのは、数字の変化が施策によるものか、季節によるものかを見分けるためです。数字だけの報告は、読む人が理由を想像するしかなく、次の打ち手の話に進みにくくなります。
すでにKPIと年間の計画がある会社では、計画との差から詰まりを探すほうが早く進みます。月次の報告で計画との差を読むやり方は、マーケ月次報告の作り方|数字の読み上げを卒業し翌月の打ち手を決める5ステップ で解説しています。
関連記事:KPI未達の対策|期の途中で、どの数字に手を打つかを決める判断の順番 で解説しています。
営業部長に説明するときの一文
- 「リードから受注までを前年の同じ時期と並べたところ、〇〇から〇〇の間がいちばん落ちていました。連絡までに〇日かかっているので、まずここを一緒に縮めさせてください。」
- 「MQLの定義はまだ決めず、当面は商談と受注の数え方だけをそろえて比べたいと思います。いまの数え方を教えてください。」
まとめ
ファネル分析は、段階ごとの件数・転換率に次の段階までの日数と経路を加えて1枚に並べ、注力する段階を1つに決めるために使います。前年同期と比べて落ちた段階を、経路と日数で割ると、全体の数字では見えない詰まりが見えてきます。原因は手間・待ち時間・人手に分け、まず1つの打ち手から始めてください。
よくある質問
Q1.ファネル分析で、件数が少なく転換率が安定しないときはどうすればよいですか?
A1.四半期や半期にまとめて比べます。それでも件数が少ないときは、どの経路から来て、どこで止まったかを1件ずつたどるほうが、詰まりを見つけやすくなります。
Q2.MQLの定義がない場合でも、ファネル分析はできますか?
A2.できます。商談と受注のように、営業の記録に残る段階だけを並べて比べます。MQLの定義は、詰まりが見えてから決めても間に合います。
Q3.前年のデータがない場合は、何と比べればよいですか?
A3.一般に公開されている調査の数字を目安として並べます。業種や商材で幅が大きいので、目安から大きく離れた段階がないかを見る程度にとどめます。今期のデータがたまったら、前年同期との比較に切り替えてください。
Q4.ファネル分析に専用のツールは必要ですか?
A4.最初のうちは、商談管理表やMAからデータを書き出し、表計算で数えれば足ります。見る段階と数え方が決まったら、MAやCRMのレポートで自動で集計する形にすると、毎月の手間が減ります。
